朝食を終えたふたりは、校舎に向かった。
風変わりの七海学園とはいえ、もちろん普通に授業も行う。
隣の席が自分のパートナーで固定、というのは、この学園ならではかもしれないが。
陽キャの圭吾は、あっという間にクラスの輪の中心にいた。
休み時間は同級生に囲まれ、授業中も挙手発言で盛り上げる。誰とだって楽しく話せる圭吾は、明らかにクラス内でも目立つ存在だ。
(いつもクラスの端で静かにしていた私とは、やっぱり合わないよ)
圭吾は今も、クラスの男子たちと楽しそうに話している。隣の恵奈はといえば、することもなく、話す相手もおらず、ただぼんやりと窓を眺めていた。
「悪い。俺、用事あるから。あとでまた話そう」
圭吾の言葉で、男子たちは自分の席に戻っていく。
あと数分で次の授業が始まるのに、用事ってなんだろう?と恵奈は疑問に思った。
すると圭吾は「ねぇ」と恵奈に声をかけてきた。
「なかなか良いクラスだよね。普通に楽しく過ごせそう」
「そう、ですかね……。というか浅……、圭吾くん。用事はいいんですか? 急がないと次の授業に間に合いませんよ?」
「いいのいいの。俺の用事は、今、現在進行中だから」
意味がわからず、恵奈は眉をひそめる。
圭吾はうれしそうに笑みを浮かべた。
「俺の用事ってのは、恵奈ちゃんと話すことだよ」
圭吾はさも当然と言い放つ。恵奈は思いもよらない返答におののいた。

