「ありがとう、恵奈ちゃん。話してくれて」
「ううん。私も、圭吾くんのこと知れてうれしかった。ありがとう」
圭吾は恵奈の手を離し、彼女の前に立つ。
突然の行動に、恵奈は眉をひそめた。
「どうしたの?」
「恵奈ちゃん。その拓馬って人と俺。似てる?」
恵奈は戸惑いつつ、圭吾を眺める。
「えっと、あんまり似てないかな。背は同じくらいだけど、拓馬さんはもっと肩幅があって、髪も真っ黒で、色黒だから。筋肉質だけど細身な、茶髪の圭吾くんとは、ちょっと違う」
「良かったぁ」
圭吾は胸に手を当て安堵する。
その様子に恵奈はより眉間の皺を深くし、首をかしげた。
「いったいどうしたの?」
「だって、これから恵奈ちゃんが俺を好きになっても、その人を思い出すことはないってことでしょ」
圭吾はまた満面の笑みを浮かべる。
あまりに自信満々な様子に、はじめは呆気に取られていた恵奈も、だんだんと笑いが込み上げてくる。
「ふふ。すごい自信だね」
「そりゃそうだよ。セブンオーシャンが開発したデステニーで選ばれてるんだから」
圭吾にそう言われると、なんだか納得してしまう。
はじめは、こんな陽キャの人、合わないと思っていた。でも一緒に過ごすうちに、彼の優しさに触れて、彼のことを知りたい、近づきたいと思っていた。
それだけでも、デステニーってあながち間違いではないのかもしれないと恵奈も思えた。
そう、本当に、運命の相手はいるかもしれない、だなんて思えてしまうのだ。
「さて、恵奈ちゃん。食堂行かない? 朝ごはんにしようよ」
「いいよ。今日は何にするの?」
「そうだな〜。今日は、焼肉定食かな!」
圭吾は恵奈のほうへ手を差し出す。
恵奈も、迷わずその手をとり、ふたりは並んで駆け出した。
fin

