運命お断り!






恵奈はぼんやりと目を開く。どうやら朝のようだ。
まだ微睡む目でスマホを開き、時刻を確認した。

(六時前……。まだ早いな。しかも今日は休日。二度寝しよ〜)

寝返りし布団を引き寄せると、隣の個人スペースのほうから、ゆっくりと階段を降りる音が聞こえてきた。

恵奈はまだだるさの残る体を起こし、布団から出て下を覗く。
そこにはTシャツとハーフパンツに身を包んだ圭吾が立っていた。

恵奈はそのまま階段を降りる。
圭吾はキッチンで水を飲んでいた。彼は恵奈を見つけると、目を丸くして声を上げた。

「うわぁ! 恵奈ちゃん、早起きだね」
「圭吾くんのほうが早起きでしょ。これから走りにいくの?」
「そう。休日だから、少しゆっくり走れるかなと思って」

恵奈はジッと彼を見つめていた。圭吾はそんな彼女に笑いかけ、「一緒に行く?」とたずねる。

恵奈はしばらく考えてから、ひとつ大きく頷いた。



外はすでに太陽が上がり、気持ちの良い空気を漂わせている。
春過ぎの、少し寒さの残る空気が、気持ちを引き締めてくれる。

「まずは準備体操! 朝一番の体はかたまってるから、よくほぐしてね〜」

圭吾は背中を伸ばしたり、前屈したりと慣れた様子で体を動かす。恵奈も彼に習い、体をほぐした。

「さて、じゃ、軽く走ろっか!」
「私、遅いから。気にせず先に行ってね」
「そんなことしないよ〜。せっかく恵奈ちゃんと走れるのに」

そんなやりとりをしながら、ふたりはスタートを切った。

寮、校舎、体育館、ゆっくり周囲をジョギングしていく。

鳥のさえずり。風でそよぐ並木。どこからか漂う花の香り。太陽の光。スニーカー越しに踏みしめる土の感触。

いろんなものが、恵奈の五感を刺激して、心をクリアにしていく。