「会えなく……なる?」

急に、さっきまでの嬉しい気分が、ガラガラと崩れていくような気がした。

(そう言えば、さっき『送別会』って言ってたな……。)

「俺はさ。」

加村さんが、小さな声で話し始めた。

「この戸町に一時出張した後、バイト辞めることに決まってたんだ。」

加村さんは、本当に残念そうな顔をして、そう言った。

「なんでですかっ?あたしだって、加村さんが居なかったら、寂しくなります!」

あたしは、直感的に「今、告白しなければ」という感覚に襲われていた。

フッと、切なそうに加村さんは、微笑んだ。

そして、説明を続ける。

「俺、高卒認定は去年の秋取ったから、大学受験出来るんだ。だから、受験勉強を始めようと思って。」

「え……?加村さん、大学受ける資格持ってるんですか!?しかも、大学通う為に勉強するって……。」

「…………。」

口を閉じたあたしの心に浮かんだのは、

(凄い!)

と、いう率直な気持ちだった。

「あたしっ……!めっちゃ応援します!」

ここが、チャンスだと思った。