しぃぴぃ~彼は年上のCPが好き?~

(と……取り敢えず、何か飲みもの持って来た方が良いかな……。)

(でも、途中で加村さんの目が覚めた時、誰も居ないっていうのは……。)

あたしが、何をしようかあたふたと困っていると、急に誰かに腕を掴まれた。

「うわっ!あ、加村さん。」

頭を押さえながら、加村さんが布団から起き上がろうとしていた。

「あー……。」

目をつぶったまま、彼は眠たそうに声を出した。

(えっ?こういう時は、寝てた方が良いんじゃないかなあ?)

「あのっ、加村さん?まだ起きない方が良いですよ。」

「……すみません、先生。ちょっとまた調子が悪くなって……。」

「先生」!?

あたしは、教師でも医者でもないよ!?

加村さん、まだ寝ぼけてる?

そんな様子の加村さんは、こう続けた。

「まだ……。手を握ってて良いですか?」

かあっと、あたしは赤面する。

「な……、何言って……。」

「亜犁安さん…。」

(!!)

ズキ……ン。

か、むら、さ……。

あたしと、好きな人を間違えてる?

「…………。……加村さん、お酒弱いんですね…。」

あたしは、取り敢えず、声を掛けてみた。

名前が間違ってることは、何故か言えないままでいて。