「んー?春頃だったかな。」

加村さんは話し始めた。

「観月ちゃんさ、俺に向かって思いっ切り怒鳴ったんだよ。『あたしの名前は、ミヅキじゃなくてミツキですっ!』って。」

(!!)

そう言えば、そんなことがあった。

今思えば、歳上かつバイトの先輩に、何ということをやらかしたんだろう。

「ああっ!す、すみませ…!」

あたしは、またつい大きな声を出してしまった。

「あははっ!いや、良いよ。リオナ。」

(!)

ドクンッ!!

あたしの心臓は、大きく揺れ動いた。

名前……!