「え、えとっ!ごめんなさい、加村さん!気を悪くさせるつもりは無かったんですけど!」

あたしは、もう一度携帯を耳に当て、謝罪の言葉を述べた。

自分でも泣きそうな、震えていると分かる声だった。

「ふ……っ。」

加村さんの声色に変化があった。

(ん?クスクス笑ってる?)

何故、と思った瞬間、

「あはははっ!」

と、大声で笑う加村さんの声が、あたしの耳にキーンと響いた。


「え、え?加村さん?」


あたしは、何が起こったのか分からずに、ただ動揺した。

「なんだ、観月ちゃんだったのかあ!」

「?どういうことですか?」


加村さんは、何を言っているんだろう?

携帯番号を教えてもらったので、掛けてみたのだが、彼にとってはそれがそんなに可笑しなことだったのだろうか。