オフクロサマ

☆☆☆

「そんな……、それじゃそのフクロダキって人は被害者じゃないの?」


「うん。今ならそうだよね。指が一本多いことで差別されて、それが原因で家の中に閉じ込められて。本当に悲惨だったと思う。だからフクロダキの中には村人たちが想像もしていなかった憎悪が渦巻いていたんだよ」


安喜くんの言葉に裕貴は大きく息を吐き出した。


だんだんと、フクロダキが大虐殺に走った原因がわかってきた。


さっきから緊張で手を握り締めているので、汗がじっとりとにじみ出てきている。


けれど安喜くんの話を聞いている間力を込めずにはいられなかった。


「それからもフクロダキはこの村に暮らし続けたんだ。帰る家はどこにもなかったから」


村人たちは主に林業と農業に性を出していた。


そんな中フクロダキはどうにか農業をしている家の手伝いをすることが決まった。


住居は学校の裏手にある倉庫の中だ。


台所もトイレも風呂もなにもない、ただの倉庫がフクロダキの唯一の安らげる場所となった。


フクロダキはどんなことでも河原で行った。


魚を取り、火を起こして飯を炊き、そして風呂の代わりにもした。