りんご色ジェラシー

「……岩清水くんが、私から離れちゃう夢」


私の言葉を最後に、部屋がシーンと静まる。
岩清水くんがどんな表情をしているのか見るのが怖くて、うつむいたまま話す。


「ご、ごめんね。勝手に不安になっちゃって」


何か言われるかなと思って黙って待つけれど、いつまでたっても返事はない。

え、まさかすっごく怒らせちゃった……?

一気に不安になって、ばっと顔を上げた。
岩清水くんの顔が思ったよりも近くにあって驚く。
だけど肝心の彼の顔は怒っているようには見えない。

いつもと変わらない表情で私のことを見ていた。
ほっと安心するけれど、だからと言って状況が改善したわけじゃない。

な、なんか言わなくちゃ……

そう思ったとき、岩清水くんのほうが早く口を開いた。


「かわいい」
「へっ……!?」


突然そんなことを言われて、顔がぼぼぼっと熱くなるのを感じる。
それに比べて岩清水くんは照れもせず、いつもと変わらない表情だ。


「お前さ、誰にでもすぐ赤くなるよな」
「えっ……それはそう、かも」


結局私の夢の話は流されてしまったのか、いまいち話についていけず必死に考える。
すると岩清水くんは眉間にしわを寄せた。


「それやめて」

「えっ!? そ、そりゃ私も赤くならないですむならそれがいいよっ……! でも勝手に赤くなっちゃうからっ」

「じゃあ練習して耐性でもつければいい?」

「えっ!?」


ど、どういうこと?
練習?
というかもともと何の話してたんだっけ……!?

いよいよ意味がわからなくなって混乱してきた。