りんご色ジェラシー

「う……」


目を開けると部屋の天井が見えた。
まだ暗くて、時計を確認するとまだ夜中の3時だった。
そこでやっとさっきまで夢を見ていたのだと気づく。

……怖い夢を見てしまった。

昨日不安ばかり感じていたからだろうか。
眠たいのにもう一度眠る気にはならなくて、静かにダイニングまで降りる。

そして冷蔵庫から冷たい水を取り出して、コップに注いだ。


「ふう……」


喉から胃まで冷たい水が通る感覚がして少し落ち着く。
ダイニングの椅子に座って、ぼーっと壁を見つめる。

……今日の授業中、眠たくなっちゃうかな。

また違う不安が生まれると、ぎしっと音が聞こえて上を見上げる。


「何してんの」

「い、岩清水くんっ……ごめんね、起こしちゃった?」

「べつに。起きてたし」


こんな時間まで?
それはそれで大丈夫ではないのでは……

そう思っている間に、岩清水くんがトントンと階段を下りてくる。


「で、何してんの」
「えっと……ちょっと怖い夢見ちゃって……」


なんだか恥ずかしくなって、自分で言いながらあはは……と苦笑いする。
だけど岩清水くんは気にしていないのか、「へえ」と私の隣に座った。


「どんな夢?」
「え? えーっと……」


正直に言ってしまうと、自分が不安に思っていることがバレてしまう。

どうしよう……

本当のことを話すか噓をつくか、ぐるぐる考える。
だけど岩清水くんがじっと見てくるから、なんだか嘘を言っても見透かされそうな気がして、諦めて口を開いた。