りんご色ジェラシー




『はあっ……はあっ』


気づけば私はどこかを夢中で走っていた。

あれ、どうして走ってるんだっけ……?
きょろきょろと周りを見てみると、自分の前には体操服を着た女の子たちが走っていた。

それでやっと気づく。
……中学生のときの持久走だ。

私には苦手なことがたくさんある。
その中のひとつが走ることだった。

体育の時間、私はいつもひとりでみんなの背中を必死に追いかける。
だけど追いつくことは決してできなくて、苦しくて、辛かった。


『羽生ちゃん大丈夫ですか!?』
『……!』


気づけば景色が変わっていた。
これは学年末課題のケイドロ……?

息を吸ってもしんどいのは変わらないけれど、私の隣には支えてくれる初ちゃんがいる。


『岩清水くん! お願いします!』


初ちゃんはそう言って、私を岩清水くんのところまで連れて行ってくれる。

彼の手を握ろうとして手を伸ばす。
だけどいつの間にか岩清水くんの隣には、カフェで会ったかわいい元カノさんがいた。


もう走っていないのに、ううん、元から走ってなんていないのに、息がうまく吸えなくて苦しい。


まって。


そう言うこともできずに、抱きしめあうふたりを見ることしかできなかった。