「無駄だよ?」

「っ…」



逃げようとしたのに、立ち上がった男によって、拘束される。

縛られてはいないものの、頭の上で交差された腕を捕まれ、身動きがとれない。



「あーあ。せっかく、優しくしてあげようと思ったのに…なに?そんなに痛めつけてほしいわけ?」

「ち、ちがっ…」



男は私の首筋にキスを落とす。

そして妖艶に微笑んだ。



「な、このまんま身体中にキスされんのってさ…どんな気分?」

「はっ…?」

「あれだろ?女ってさ、そういうことは好きな人としたい、とか言うんだろ?めんどくせぇ」



こんな男にキスされるのなんて嫌に決まっている。

けど、やっぱり相手は正真正銘の男で、私よりも遥かに強い力で押さえつけられる。




「あーあ、かぁわいそ」