今から十年前

　『ひーめーこっちにおいで？』

　ここは大学病院の病室。個室に姫の父は入院していた。姫の父は、姫が2歳の頃から癌で入院していて、余命も残り少ないと言われていた。勿論まだ七歳の姫にはよく分かっていない。父から言われるがままに父のもとに行った。

　『パパー姫きたよ〜』

姫が父のところに行くと父わ笑顔で迎えてくれた。
父としばらく戯れて母（花梨）が病室に迎えに来た。

　『姫、そろそろ家に帰るわよ〜』

　時刻は午後7時。姫は家に帰った。

　『マーマーご飯美味しかったー明日は……ムニュムニュ……スースー』
　
　お腹が満たされて姫は話してる途中で寝てしまった。花梨は姫が寝てから夕飯の片付けをし落ち着いた頃に病院から電話がかかってきた。
　花梨は覚悟した。

　──この電話は父の事だろう、しかも、良い意味のではないと。

　その予想は当たってしまった。

　それから悲しむ日間もなく葬儀まで終わらせた。
姫は呆然としていて少し落ち着いた頃にやっと事を理解した。

　『ぱーぱーふぇ〜姫寂しいよー』

　『姫、いつまでも泣いていてはパパが悲しむよ。これからは、ママと一緒にパパのぶんも生きましょうね？』

　『……ヒック……うん……』