その8
夏美
こんな感情を露わにした達美は初めて見た
達美は熱くなるタイプだが、一方で、常に一線は超えない、いわば”大人”だ
この1年間、達美が南玉を荒子に引継ぐため、どんなに神経を使ってきたか…
すべて後輩のため、これからのことを考えてだ
それしかないんだ、私らの思いは…
真澄やいづみは、それ、どれだけわかっているんだよ!
...
私もカッカはしていたが、幹部会が始まってからずっと、出席メンバーの様子をくまなく注視していた
どうやら、真澄といづみは綿密に絵を描いてる
でも、その拠り所となるネタ元は誰なんだ…
やはり、あの1年なのか…
...
ここで、満を持た真澄が発言にたった
「あの…、荒子への継承が決定して直後に、こんなドタバタって、まずいんじゃないかな?”敵”に足元みられるよ。そもそも、こういう混乱を招いてる原因って、執行部の事実隠し、極端な機密主義じゃないかしら?まず、聞くわ。同じ執行部の一員、鷹美には亜咲が襲撃された件、伝えたの?これは補佐の夏美に答えてもらうわ」
来たわ…
「いえ、亜咲襲撃の事実は、総長の達美と私で留めておいてました」
私は端的に答えたわ
その場は何ともいえない、ばつの悪い重苦しい雰囲気になった
真澄はやや笑みをこぼしながら、再び発言した
「達美と夏美の隠蔽主義は、今に始まったことじゃないから、驚かないけど…。それで、昨日の紅組の嵯峨さんとの会合には、鷹美も同席したと冒頭の報告にあったわ。これって、南玉代表の代継ぎじゃないの?夏美、答えて」
「ええ。昨日の会合で、紅組の新しいトップ、嵯峨ミキさんとのカウンターパートナーを鷹美に継いだわ」
「なら!なんでなの?すでに周知の亜咲襲撃の事実、次の執行部を背負う鷹美に隠すのよ?」
「…」
私は言葉に詰まった…
「ふざけんな!」
「どうなってんだよ!」
会場内は一気に騒然となったわ…
夏美
こんな感情を露わにした達美は初めて見た
達美は熱くなるタイプだが、一方で、常に一線は超えない、いわば”大人”だ
この1年間、達美が南玉を荒子に引継ぐため、どんなに神経を使ってきたか…
すべて後輩のため、これからのことを考えてだ
それしかないんだ、私らの思いは…
真澄やいづみは、それ、どれだけわかっているんだよ!
...
私もカッカはしていたが、幹部会が始まってからずっと、出席メンバーの様子をくまなく注視していた
どうやら、真澄といづみは綿密に絵を描いてる
でも、その拠り所となるネタ元は誰なんだ…
やはり、あの1年なのか…
...
ここで、満を持た真澄が発言にたった
「あの…、荒子への継承が決定して直後に、こんなドタバタって、まずいんじゃないかな?”敵”に足元みられるよ。そもそも、こういう混乱を招いてる原因って、執行部の事実隠し、極端な機密主義じゃないかしら?まず、聞くわ。同じ執行部の一員、鷹美には亜咲が襲撃された件、伝えたの?これは補佐の夏美に答えてもらうわ」
来たわ…
「いえ、亜咲襲撃の事実は、総長の達美と私で留めておいてました」
私は端的に答えたわ
その場は何ともいえない、ばつの悪い重苦しい雰囲気になった
真澄はやや笑みをこぼしながら、再び発言した
「達美と夏美の隠蔽主義は、今に始まったことじゃないから、驚かないけど…。それで、昨日の紅組の嵯峨さんとの会合には、鷹美も同席したと冒頭の報告にあったわ。これって、南玉代表の代継ぎじゃないの?夏美、答えて」
「ええ。昨日の会合で、紅組の新しいトップ、嵯峨ミキさんとのカウンターパートナーを鷹美に継いだわ」
「なら!なんでなの?すでに周知の亜咲襲撃の事実、次の執行部を背負う鷹美に隠すのよ?」
「…」
私は言葉に詰まった…
「ふざけんな!」
「どうなってんだよ!」
会場内は一気に騒然となったわ…



