その2
麻衣


終わった!

何とか無事にやり過ごしたぞ…

「一応、これで、昨日の幹部会での前提が確保されたということになった。明日、臨時幹部会に報告結果を提出しよう。では、今日はお疲れさん…」

土佐原OBの手短かだけど力強いコメントで、委員会は閉会となった

「麻衣ー、私さあ…」

閉会と同時に、私の元へ久美が駆け寄って来たよ…

やっぱり、わかってないんだよな、久美はこういうとこ

時間かけて、しっかりと教育してかなきゃな…

私は得意の眼光で、何とか久美を押し返した

あいつ、さすがにピンと来たようで、戻って行ったわ


...



そして、気が付けば、私の横には木戸先輩がいた

「よう、今日はご苦労さん。お前、明日の会の後は、いいんだな?大丈夫なんだな?」

「ええ。状況が整えば、OKですよ、全然。ただ、明日の結果が出ない限り、動けませんから。今はこれ以上のこと、言えませんし。当然ながら」

「ハハハ…!そりゃそうだ。荒子がアタマになったら、まあ、ゆっくり今後の”展望”をダベろうや。じゃあ、また明日な」

木戸さんは上機嫌だったわ

フン、当たり前だよな…


...



その後、久美と二人で喫茶店に入った

「麻衣、私さあ、どうだった?緊張しっぱなしだったから、よく覚えてないんだよ、何言ったか。でも、必死になって”証言”したつもりさ」

「うん、上々だったさ、久美。ただ、一時をやり過ごしてはしゃいでちゃダメだ。私が何言ってるかわかるか?」

「ああ、ひょっとして…、会議が終わって、すぐに声かけたからかな?麻衣に…」

おお…、わかってるじゃん、久美

お前のゆるいアタマも、だいぶ学習に慣れてきたようだな

「いいか、久美。常に気を抜いちゃいけないんだ。浮かれてたら、すぐに相手には見透かされる。お前が私の”隣”に並んでたけりゃ、それ、よくかみ砕いとけ!私はその場で立ち止まってる怠け者を、悟す気は毛頭ない。着いてこれなきゃ、そこで見ず知らずの他人になる。まあ、何しろ今日はよくやってくれたよ、久美。週末の伊豆が楽しみだなあ…」

この久美には、常にアメとムチのバランスを考えて話をしている

「ああ…。もう、今から楽しみで眠れないんだ。だから、今日もホントは寝不足でさ…」

あのよう、期末テストは近いんだよ、久美

眠れないんなら、試験勉強しろよ…

とにかく、久美のアホなとこ、うつんないようにしないとな(笑)