魔王の側近、妖怪と出会う【転生したら、魔王の側近でした×都の剣】

「……君は、妖怪と同じ気配がする。だから、他の人には見えてないんだと思う……とりあえず、ルーチェには都に来てもらう」

そう言って、嵐猫はルーチェとともに妖怪の住む世界、都へと向かった。



「……ルーチェ、隣いい?」

元の世界に帰れるまで神社で暮らすことになり、ルーチェは皆の手伝いをしたり、遊んだりして過ごしていた。

ルーチェが異世界に飛ばされてから数日が経ったある日の夜、眠ることが出来ずに縁側に座って月を眺めていると、後ろから声をかけられた。

ルーチェは、後ろをゆっくりと見る。

「嵐猫……いいよ。おいで」

ルーチェに声をかけたのは嵐猫で、嵐猫はルーチェに近づくと隣に座る。

「眠れないの?」

「うん……寝ようとしたら、皆のことを考えちゃって……」

そう言って、ルーチェは再び夜空を見上げた。

「そういえば、あの日も……こんな感じだったな」

ルーチェの呟きを拾った嵐猫は、「あの日?」とルーチェを見つめる。嵐猫の視界に映ったルーチェは眉を下げ、口角を上げていた。

「ここに来た日、『僕を拾ってくれた人』って言ったでしょ?」

「そういえば、そんなこと言ってたね」

「僕、小さい頃に両親に捨てられてさ……森を彷徨っていたら、その人に拾われて……拾われて数日は眠れなくて、こうやって話しながら空を見上げてたんだ」