人を好きになると、泣きたくなるんだ。 知らなかった。 私は自転車をおりてまた袖で涙を拭いながらとぼとぼ歩く。 「え、どうした」 いつの間にか目の前にいて、私の肩を掴んでいるヤマダさん。 「なんかあった? え、転んだ?」 「……す、スマホ」 「持ってる」 「ごめんなさい……」 「なにが……?」 「赤の他人とか言ってごめんなさい……」 ヤマダさんは少し黙った後、私の肩を寄せた。顎がその肩にぶつかる。 冬空が見えた。 いや、もうすぐ春になる。 空には無数の星があった。