……普通に聞けば良かった。 ボーカルを探す旅はどうだったのか。 どうしてここを選んだのか。 この三日間は、楽しかったか。 ペダルを踏み込む。 何でもない私だけど、友達になってくれるのか。 もう会うことはないだろうけど。 「ねーいーこーちゃーん!」 よく通る声だ。 波の音にも吸収されず、私に届いた。 手を大きく振る姿が見えて、また涙が溢れた。 私はこの人が好きだ。 たぶん、大好きだ。 だって、手をぶんぶん振ってるだけで愛おしい。 こんな気持ちになったことがない。