がんがんとペダルを踏み込む。自転車は乗ってて気持ちが良い。漕いだ分だけ前に進むから。 凍てついた夜風が顔に当たる。針みたいに刺さる。痛いけど、止まれない。 なんで泣いてるの。 何が辛いの。 どうしてそんなに、悲しいの。 昔から男子より背が高くて、男みたいと言われて、女子から告白されることの方が多くて、そういう役回りを求められて。 偶にふと我に返る。 私って何なんだろうって。 それが多分、ヤマダさんに出会って、明確になった。 私は何でもない。 私は、誰の何でもない。