頷く。話してくれるのなら。
「秋の終わりに喉の手術したんだ」
ヤマダさんの喉に目を向ける。
「手術は成功、術後経過も良好。周りからは変わってないって言われる」
喉を隠すように手で覆っていた。私は瞬きをする。
「でも、俺の中じゃ前と後で全然声が違う」
目を伏せていた。何を見ているのかは分からず、私もまた何を見れば良いのか分からず、途方に暮れる。
「だから、バンドを辞めたいって言って出てきた」
そういう、楽しくない話。
笑ってヤマダさんは締めた。
締めようとした。
「そうやって、巻き込ませてくれない」



