袖が解放され、ヤマダさんがタッチパネルを掴んだ。私の方が近かったのに、気が利かなかった。
「すみません」
「ん? 寧子ちゃん、何食べる?」
とんかつ定食と、みそラーメンセットが既に入れられている。
横から覗き、パスタを選択。
「篠山が払ってくれるから高いパフェも入れとこ」
ピピ、と注文を押す。止める術が無かった。
タッチパネルが充電器に戻され、わかっていた沈黙が降りる。
「……バンド、辞めちゃうんですか?」
尋ねると、テーブルに両頬杖をついたヤマダさんが少し笑った。
「その話聞きたい?」
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