篠山さんの言葉にヤマダさんが詰まる。
いや、ヤマダさんじゃない。
名前も知らなかったんだなと思い返す。
「全然、巻き込まれてません」
私が言うと、二人の視線が集まった。
「とりあえず、私は帰ります」
「え、なんで」
「お腹も減りましたし……」
立ち上がろうとすれば、隣からぐっと袖を掴まれた。動けないくらいの力で。
しかもこの席順だとヤマダさんが退かないと帰るに帰れない。
じっと顔を見られて、思わず見返す。
「俺はとんかつ定食。マネージャーに連絡してくる」
それを見兼ねたのか、篠山さんが溜息を吐きながら席を立った。



