スマホからは音楽が流れ続けている。 「ヤマダさ、」 「鍔木(つばき)」 ヤマダさんの視線がこちらから正面の篠山さんへと移る。少し安堵したように目の奥が和らいだ。 「もう来たのかよ」 その瞬間、私はヤマダさんの人生の蚊帳の外に放り出された感じがした。 いや、感じじゃなくて、ずっとそうだった。私はヤマダさんの旅にくっついていただけで別に内側に居たことはなかった。 「お前、自分が何したか……」 「あーはいはい、腹減ったー、寧子ちゃん何か食った?」 ヤマダさんが隣に座り、私の顔を覗いた。