ヤマダさんが振り向き、私を見る。
「美味しいから」
「なんか理由が嫌だ……」
「え、なんで」
「食べる想像をしながら観察」
理解しようと考えていると、ヤマダさんが口を開く。
「人も同じっしょ。消費する側とされる側」
あまりにも昏く笑うので、息が止まりそうになった。
昨日はこんな感じじゃ無かった。
昨夜何かあったのだろうか。
「ボーカルの人、見つかりました?」
「え?」
昏い顔がきょとんとする。
「ああ!」
「今忘れてましたよね? 完全に」
「いやまさか。ここもほら、探す旅の一環だから」
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