小鳥たちの庭園

そういったところで春くんの態度が変わるとも思ってないけど一応言っておく。

「よろしくお願いします、長谷川君」

「……てかりほりほさ、敬語なくていいんだよ? てかなしにしよう!」

先ほどから若干覚えていた違和感を言えば、梨帆ははっとした様子で、控えめに頷いた。

「すみません、緊張してて。えっと、うん、敬語じゃなくするね」

と、少し照れくさそうにわらった。

やばい、この子は本当にやばい。
可愛い。可愛すぎる。小動物か何かか?

 なんて馬鹿なことを考えていたのが分かったのか、凜太郎が「ちょっと落ち着けよな」という無言のアピールを笑顔の熨をつけて送ってきた。ひぇっと口から声が出そうになり慌てて押さえる。

「最後は大雅だろ」

 私が黙っている間に凜太郎がそう促し、大雅は仕方なさそうに頭をガシガシとかいてから口をひらいた。

「相川大雅(あいかわたいが)高2。そこのバカとお前と同じ高校らしいから一応よろしく」

 なんだかんだ言って面倒見てあげるパターンだよねもう、素直じゃないなぁと見つめていれば「見てんじゃねぇよ」という視線をいただいた。解せぬ。

「よ、よろしく相川くん」

 大雅の威勢がいいというより少し態度がでかめな挨拶に後退気味に梨帆は軽く頭をさげた。

「まあ、あとはもう一人いるんだけど今は用事でいないから。たぶん夜までには帰ってくると思うからその間に家の説明するね」

 そういって立ち上がれば梨帆も慌てて立ち上がった。