小鳥たちの庭園

 笑いかけると梨帆はさっきよりも幾分か柔らかい表情を浮かべる。まだ緊張してはいるが、ほどよく力も抜けたのだろう。

「大丈夫です。ありがとうございます」
「よし、じゃあ今からみんなに紹介するね」


「はーい、皆聞いて。今日から一緒に住むことになったりほりほです!」

「どうぞ」と梨帆を見ると意を決したのか大きく深呼吸をして口を開いた。

「きょ、今日からお世話になります、神崎梨帆です。よろしくお願いします!」

 先ほどと同様に頭を下げ、梨帆がゆっくりと頭をあげると

「初めましてー、向井千颯(むかいちはや)でーす。梨帆ちゃんって呼ぶね? こちらこそよろしくー。てかめっちゃかわいいね。俺のことは千颯でもちーくんでもなんとでも呼んでね、それでこの後さ痛ってぇ!!」

「ごめんねりほりほ。びっくりしたよね。私の横空いてるからそこ座って」

 すさまじいスピードで梨帆のもとに来てにっこりとイケメンスマイルを向ける千颯の足を踏みつける。ジリッと千颯を見つめ、さらに足を軽く踏み躙ってやる。

 案の定固まってしまっている梨帆は数秒ののち、はっと我に返り顔を赤らめていた。

「千颯ァてめぇ見境ねぇな」

ハッと鼻で笑った大雅に対し、千颯はにっこりとわらった。

「うーんだってさ、この家で女の子を見るのが久しぶりすぎて、しかもかわいい子じゃん? だからつい、ね」

「へぇ、向井、今日の家事当番全部請け負いたいって?」

「茉子ちん今日もかわいいね。俺はこんなかわいい子と暮らせて幸せだなー」

「見事に棒読みだな」