少しだけ寂しそうに笑う声に「任せてよ」と明るく返す。顔がいいってのも大変なことがつきものらしい。
「まあ、それで、どうだろう。僕がこういうのもなんだけど、認められたかったんじゃないかな。一言、褒めてあげるだけでよかったのに、母は相変わらず僕ばかり見るから、それが嫌になって」
「家を出ようと思ったわけね」
その言葉に静かに頷かれる。
「ただ、あの子と母を2人にするのはもっとまずいことだったからさ、一緒に寮のある高校にしようなんて話をした時にはもう、手遅れ。僕だけでももっと早くに歩み寄ろうとすればよかったのにね」
後悔の念を滲ませた声とため息が聞こえる。実際この人は忙しかったから仕方がない部分もあるんだろうけど、千颯からすれば母にも兄にも見捨てられたように映ったのかもしれない。
「そんな時だよ。母が若年性アルツハイマーって診断されたの」
それは知らなかった。ちらりと隣を見れば走り続けているのに飄々とした様子で金髪がキラキラ揺れている。その表情からは何を考えているかを推量れない。
「ショックがなかったかと言われたら嘘になるけど、反面少しだけ安心してしまった。施設に行くことになった時、やっと呪縛から解放されるような気がした。もしかしたら、千颯ともやり直せるかもってね」
ただそれもうまく行かなかった。そんなトーンで乾いた笑いをこぼされる。
「ついにあの子は見てもらう人を失った。ずっと認めてもらいたくて頑張ってきたのに、それが叶わなくなった……そこからは茉子が知ってる通りだよきっと」
「まあ、それで、どうだろう。僕がこういうのもなんだけど、認められたかったんじゃないかな。一言、褒めてあげるだけでよかったのに、母は相変わらず僕ばかり見るから、それが嫌になって」
「家を出ようと思ったわけね」
その言葉に静かに頷かれる。
「ただ、あの子と母を2人にするのはもっとまずいことだったからさ、一緒に寮のある高校にしようなんて話をした時にはもう、手遅れ。僕だけでももっと早くに歩み寄ろうとすればよかったのにね」
後悔の念を滲ませた声とため息が聞こえる。実際この人は忙しかったから仕方がない部分もあるんだろうけど、千颯からすれば母にも兄にも見捨てられたように映ったのかもしれない。
「そんな時だよ。母が若年性アルツハイマーって診断されたの」
それは知らなかった。ちらりと隣を見れば走り続けているのに飄々とした様子で金髪がキラキラ揺れている。その表情からは何を考えているかを推量れない。
「ショックがなかったかと言われたら嘘になるけど、反面少しだけ安心してしまった。施設に行くことになった時、やっと呪縛から解放されるような気がした。もしかしたら、千颯ともやり直せるかもってね」
ただそれもうまく行かなかった。そんなトーンで乾いた笑いをこぼされる。
「ついにあの子は見てもらう人を失った。ずっと認めてもらいたくて頑張ってきたのに、それが叶わなくなった……そこからは茉子が知ってる通りだよきっと」

