小鳥たちの庭園

 ゴールドなカードを片手に気分はさながら、お金持ちなスター。会員たちには年間会員になってから言えや、と怒られてしまいそうだが、この優待券だってすごいんだぞ! そう言ってやりたい。
 高層ビルのひと枠に用意された会員制のジムは高い会費を払わせられるだけあって静かで落ち着いた空気が流れている。上空から下界の人々を見下ろしながらランニングマシンなんて趣味悪そうだなんて思ってはいけない。

 更衣室でスポーツウェアに着替え、お決まりのランニングマシンまで行けば隣には金髪のジェントルメン。Bluetoothで聴いている音楽は、と思いを馳せたところでやめた。

 中心の台にスマホをのせ、ランニングマシンの電源を入れる。傾斜とスピードを適当にいじれば、あら簡単。お手軽に運動ができてしまいます。茉子が走り始めれば、隣の金髪がイヤフォンを外したのが見えた。

「珍しいね、聞きたいことでもあって?」
 視線は相変わらず真っ直ぐ前を見たまま金髪が話を進める。

「君の弟くんの話聞きたいな、とか」
 横目にちらりと見れば、僅かに口角が下がったように思えた。

「なに、僕じゃなくて弟? ああいうのがタイプなの?」
「違うから。反抗期中の弟くんのお世話を任されたのでぇ、聞かせてくれたら嬉しいなって来ただけ」
 兄弟揃って同じこと言うじゃん、という言葉は飲み込んだ。
 反抗期と称した弟の状態にどうやら心当たりがあったらしい。うーん、とどこから話そうかと悩むような声をあげて、そうして「父が死んだとき」と話を切り出した。