小鳥たちの庭園

 出た。その信用してますって顔。間違ってないけど、それはそれでうざい。凛太郎は信じて疑わない様子でこちらを見つめている。その視線に弱いことも多分バレている。
 茉子はため息を呑み込んで、凛太郎を見上げた。

「そんなに千颯に入れ込んでるなんて知らなかったなぁ」
「誰かと一緒で頼るの下手そうだからな」
 ああ、その視線は知らないデス。グギギと錆びたロボットみたいに滑り悪く顔を背ければ、ふっと短く笑われる。

「千颯をここに連れてきたのも見ていられないくらいひどい時があってさ。スマホの中、全部女の人関係なんだよ。その割に本人憔悴してるし、何かに駆り立てられてるみたいに毎回違う香水の匂いさせてるし」

 憔悴しているかどうかはさておき、何かに駆り立てられるように動いているのは何となく感じ取れる。千颯はその辺の変化を上手に隠しそうだし、凛太郎が見てとれるほど酷かったというのは相当なのだろう。

「だから、ここを紹介したってわけね」
 凛太郎が小さく頷く。

「建前で言えば、茉子にとっても悪くない話だったしな。要素は多いに越したことはない、だろ?」
「まあ。それで、去年の冬に来たってわけか」
 凛太郎が苦々しく首を振る。おそらく夏に呼べなかった理由を思い浮かべているのだろう。声をかけてすぐここを紹介できなかったのを悔いているのかもしれない。あるいは単純に去年の夏のことを思い出すのが憚れるのだろう。