小鳥たちの庭園

「そうなんだ。私はやってないんだよね」
 梨帆が意外そうな顔する。その反応に見覚えがありすぎて思わず苦笑してしまう。

「やってそう?」
「う、うん。ほら、庭とかすごかったからバーベキューとかしてそれとかあげてるのかなって思ってたから」
 写真を撮り終えたらしい梨帆が小さくてを合わせて「いただきます」とフォークを握る。それに倣う。

「バーベキューはしたりするけど、基本的に誰もあの家でのことはあげないかな。厄介ごとの種だし。だから、梨帆もあげないでいてくれると助かる」
 特に何かと顔のいい人しかいないために、トラブルが多々発生する。例えばストーカーとか、押しかけとか。実際、千颯なんかは、女の子に跡をつけられないように遠回りして帰ってくることもあるらしい。顔のいい人ってのもタイヘンナンダナ。茉子感心。

「そ、それはもちろん! 住んでるところも下宿所って誤魔化した方がいいんだよね?」
 梨帆の言葉に今日の百合との会話を思い出し、大きく頷いた。

「説明し忘れててごめんね? 色々大変だと思うけど、基本的に家のことは内緒にしてくれると助かる」
 甘いスイーツに味に悶えながら手を合わせれば、梨帆が元気よく首を振る。

「こっちこそ急にお邪魔してごめんね。緊張してたけど、みんないい人そうでちょっと安心した」
 はわわ、気の抜けてる姿もなんで可愛いの〜!? スイーツ×梨帆は天国だな。珈琲を片手に思わず口元が緩む。