小鳥たちの庭園

「どうだった? 新しい学校は」
 皆の前で挨拶した時よりずっと自然体になっている梨帆に視線をやれば、気の抜けた笑みが溢れる。

「緊張したけど、みんな優しくて、キラキラしててすごいなぁって」
「んふふ、でしょ? 私周りの人間には恵まれてるの。ほら、梨帆も優しくて、可愛いでしょ」
 んね? と笑いかければ、梨帆が少し恥ずかしそうにして両手を左右に振る。

「わ、私はそんな皆みたいにキラキラしてなし……可愛くないし、」

「可愛いよ。それに皆と比べる必要とかないしさ。私は私のこと可愛いって思ってるよ。私には私の可愛さがあって、梨帆には梨帆の可愛さがあるんだから」

「私の可愛さ……?」
「そうそう。ていうか、今日も私イケてる! って思って生きた方が楽しいしね。だから、早起きしてメイクするし、笑顔でいる。私が思う私の可愛いをやるの。りほりほも自分の可愛さ見つけてこ」
 ぐっと親指を立てて、にっこりと笑えば梨帆は目をぱちぱちと瞬きさせた後で、キラキラした笑みをこぼした。

「ありがと、茉子ちゃん! 頑張ってみるね」
 その笑顔が可愛いんじゃあ……茉子、昇天。

「もう、りほりほの笑顔プライスレス! ねぇ、甘いモノ好き?」

「うん、好き!」
「よし、じゃあ、私のおすすめのカフェにごあんなーい!」

***

「やほやほ、玲くん」
 駅前、カフェの激戦区とも呼ばれるエリア。そこに特定の曜日だけお客さんが増えるケーキを売りにするお店がある。

「もりのくまさん」
「可愛い名前ですよね」