それに、最近ちょっと気になってたことがあって。


「あれ、ダメって言わないんだ?」


「なんだか陽世くんちょっと疲れてるように見えたから」


休み時間は女の子たちに囲まれてるし、放課後も先生たちから頼まれごとされてるのをよく見かけるし。


「少しだけ、いつもの陽世くんと違って顔色が悪いように見えたから。その……心配で」


もしかしたら、陽世くんにはゆっくり休める時間がないんじゃないかなって。


今だって、わたしがひとりにならないように一緒にお昼を食べてくれたり。


きっと、これは陽世くんの優しさ。



「えっと、みんなに優しくするのはすごくいいことだけど、無理しないでね。陽世くんは自分にも優しくしてね?」


「叶琳ちゃんだけだね。そんな些細なことに気づいてくれて、気遣ってくれるのは」


「あと、わたしでよかったら話とか聞くし、手伝えることがあったら言ってね!」


「ありがとう。叶琳ちゃんがそうやって気づいてくれて、言葉をかけてくれるのがうれしいよ」


わたしの手の甲にキスを落としてきた。


「叶琳ちゃんがこうやって優しくするのが、僕だけだったらいいのにね」