レシピ通りやっても、ちゃんと作れたためしがない。


だから今まで避けてきたのに。


「……いーじゃん。俺のために作ってよ」


「うぅ……それじゃ夜紘くんがお腹壊しちゃうよ」


わたしが作ったお菓子食べて、体調不良になっても責任取れないよ?


「んじゃ、俺と一緒に作ろ」

「えっ、いいの!?」


ひとりだと失敗するけど、誰かと一緒ならちゃんと作れる気がする!


――なんて、期待したのに!!


「夜紘くん!! 抱きついてないで手伝ってよぉ……」


「ん……無理。叶琳のエプロン姿可愛くて死ぬ」


「うぅ……これじゃ失敗しちゃう」

手伝ってくれるどころか邪魔ばかり。


「ってか、ポニーテール好き」

「うぇ?」


「首筋見えると噛みたくなる」


「っ……! こ、これは料理するのに邪魔だから結んでるだけで!」