俺様男子はお気に入りを離さない

学園祭の余韻が残るなか、一通りの片付けも終えて夕暮れに差しかかった。

――学祭終わったらいつもの美術室(とこ)に来い

私を縛り付けるかのようにずっと頭の片隅に張り付いている。
御堂くんから離れるなら行かない選択肢があったはず。
なのに私はのこのこと美術室までやってきてしまった。

何を言われるのだろう。
正直、怖い。
怖いのに、どうして私は来てしまったの?

美術室の扉の前で深呼吸する。
ちょっと前までは毎日のように来ていた場所なのに、今日はひどく緊張している。

ゆっくりと、ガララと扉を開ければ「遅い」とすぐに鋭い声が耳に刺さった。
いつもの場所に座った御堂くんは頬づえをつきながらこちらを見据えている。
その顔はひどく機嫌が悪そうだ。

ここに来いとばかりに、御堂くんは隣の椅子をポンポンと叩く。
おずおずと近づけばぐっと腕を引かれて、そのまま御堂くんの膝の上に座らされた。

驚いて立ち上がろうにも、腰にしっかりと腕が回って動けない。

「み、御堂くん……?」

呼べばすぐ近くにある綺麗な顔。
まじまじと見つめられてぐっと体温が上がった。