「ちょっと、ここ壊れてんだけど」
「ちゃんとやってよね」
え、何のこと……と言う前に菜穂がずずいと前に出た。
「なんで壊れたのが千花子のせいになるのよ。決めつけないで」
「だって秋山さんが大道具作ってたじゃん」
確かに、私が大部分を作ったのは本当だ。
毎日居残りで頑張ったんだから。
だけど私は壊したりしていないし、壊れるようなもろいものは作っていないはず。
「てか、あんたたちも大道具係じゃん」
菜穂が指摘してくれるので私はうんうんと頷く。
でも彼女たちはろくに手伝いもせず何やかや理由をつけて帰っていったメンバーだ。
「だって秋山さんが任せてって言ったのよ。責任持ってよね」
「え……私、言ってな――」
「ここの塗り方も雑だしさ、やり直してよね」
「だからなんでそれが千花子のせいなのよ!」
次から次へ責められ、泣きたくなってきた。
菜穂は私をかばってくれて言い返してくれるけど、きっと謝って直せば彼女たちの気もおさまると思う。
だから「ごめんなさい」と口を開きかけたのだけど。
「お前ら大道具係のくせして秋山に仕事押しつけるなよ」
凛とした声が教室に響く。
ザワザワとした教室が一瞬でしんとなった。



