沢田くんは上になる面から。私は下になる面から塗り進め、集中していたらお互いにぶつかってしまった。
「ひゃっ!」
「おっと!」
「ご、ごめん……」
慌てて振り向けば予想外に近い沢田くんに図らずも心臓がドキリとする。
「あ、あとここ塗ったらおしまいだから……」
「ん、わかった」
残りを二人で塗り進めるけれど、距離が近づくたびにドキリとする。
別に悪いことをしているわけじゃないのに、急に沢田くんと二人きりでいることを意識してしまって頭の中が焦りだした。
そして唐突に御堂くんのことを思い出してしまう。
御堂くんと二人きりで過ごした美術室のこと。
まだ遠い過去のことではないのに、ずいぶんと昔のことに思えてしまって胸が苦しくなった。
あの時はもっと胸がキュンキュンしてドキドキして、どうにかなってしまいそうだったな。
「俺さ、秋山のこと好きだ」
ポツリと聞こえた声に、私は目をぱちくりさせながら顔を上げた。
え……今、なんて?
なんて言った?
ポカンとしていると沢田くんは困ったように柔らかく笑う。
「好きだよ。去年からずっと」
「き、去年?」
あまりの驚きに声がうわずってしまう。
え?
え?
今、もしかして告白された?



