「御堂くんって、なんであんなに人気なんだろう?」

ポツリと呟いた私に、菜穂は顔をしかめた。
その反応がよくわからなくて私は首を傾げる。

「もしかして御堂くんのこと普通の男子よりちょっとかっこいい男子くらいに思ってる?」

「え、う、うん。そんな感じかも」

「もー、千花子ったら、それ本気? 御堂くんの人気は顔だけじゃないんだって」

「それってどういうこと?」

「うちの高校の名前知ってる?」

「知ってるに決まってるじゃない。神木坂高校でしょ?」

「そうじゃなくて、法人名」

「法人名……?」

菜穂が何を言わんとしているのかよくわからず私は首を傾げる。
すると、やっぱり知らないんだ、と菜穂は笑う。

「学校法人、御堂学園」

「御堂……学園? 御堂くんと一緒?」

「そう。御堂くんって、うちの学園の理事長の息子なのよ」

「あ、うん、それは知ってる。有名だもの」

「じゃあさ、御堂グループって知ってる? 神木坂総合病院とか神木坂銀行だとかあるじゃない。あれぜんぶ御堂グループらしいのよ」

「えっ! それって、御堂くんのお家がすごいってこと?」

「そう、すごいのよ。お金持ちの息子でさ、将来有望なの。今から御堂くんに気に入られて将来玉の輿を狙う女子がわんさかってこと。おまけにあのルックスじゃない。そりゃ人気も絶大よね」

興味がなさそうなのに情報だけはしっかり持ってる菜穂に私は感嘆の声を上げる。

すごい人だとは思っていたけれど、まさかそんな立派な家庭の息子だったなんて――。