私の光になった人

「こうやってお腹に挟んで割ってね♡」
学園長に言われて数分。
私たちはその場に立ち尽くしていた。
周りではパンッ、パンッと風船が割れる音が飛び交う中、私は出遅れてとりあえずハートの風船を拾う。
「あの、藍住くん……」
恐る恐る話しかけると、鋭い目線が私を見る。
うぅ、怖い……。
「やるか」
「へ?」
やる?
もしかして、やるの?これを?
状況を処理しているうちに、背中に腕が回って破裂音が耳に入る。
「ちょ、お前大丈夫か?」
え?
「めっちゃ手、震えてるけど。息も荒いし」
指摘されるまで気付かなかった。
自分でも驚くほど手が震えて、過呼吸になっていた。
頭の中は、お父さんへの恐怖心と手の震えと過呼吸を早く治さないとということでいっぱいだった。