寮についてすぐ、目隠しをされて椅子に座らされる。
「Happy Birthday to you」
歌いながらだんだん近づいてくるのが分かる。
コトン、と何かが置かれる音。
もしかして、もしかして……!
「目隠し取っていいよ」
ドキドキしながら目隠しを外すと、目の前にずっと憧れていた誕生日ケーキが置かれていた。
『比菜ちゃんお誕生日おめでとう』
そう書かれたプレートは、漫画の中だけのものだと思っていた。
「改めて誕生日おめでとう」
いちごが沢山乗った、私の夢がぎゅっと詰まった初めての誕生日ケーキ。
「ありがとう……。すごい、すごい嬉しい」
切り分けてくれたケーキを食べている時も、幸せすぎて溢れて止まらない気持ちがあった。
初めての気持ち。
ドキドキと、感じたことの無いときめき。
「好き」
この気持ちは、もしかして恋?
そう意識したときにはもう、口からその2文字が飛び出していた。