自分でSNSを更新しないといけない夏休み、私たちはほとんど寮の中にいた。
みんなの投稿は外のものばかりなのに対して、私たちは部屋での行動ばかりを投稿していた。
一緒に映画を観た。大ヒットしたらしい医療系の映画。
必死に命を救おうとする人達に2人で思いっきり引き込まれた。
料理をした。咲夜くんは普段料理をしないだけで包丁さばきがすごかった。
早い、薄い、均等、綺麗。
まるでシェフみたいだった。
ときには手を繋いで、今まで出来なかった憧れについて語ったりもした。
誕生日とクリスマスにプレゼントを渡し合ってケーキを食べてみたい。
修学旅行に行ってみたい。
遊園地に行ってみたい。
どの憧れも、まるで相手の考えていることを当てるゲームのように一致した。
1つづつ叶えていこうと指切りをした。
この時間はいつしか、何物にも代えがたい大好きな時間へと変わっていった。