同部屋の人どんな人だった?
教室へ入るとその話題で持ち切りだった。
話に混ざれるほど陽キャじゃない私は、円になって話しているのを聞き流しながら自分の席についた。
「私の同部屋の人めっちゃイケメンだった!」
「うちのところは優しい人だったよ。ダンボール部屋まで運んでくれたの」
「私は幼馴染だった。実はずっと好きだからすっごい嬉しい」
いいなぁ。
私のところは銀髪の不良っぽい人なのに。
無理言って受験させてもらったし、合格して入学式まで来てしまったんだ。
もうあとには引けない。
「お前、名前は?」
聞き覚えのある声に思わず横を向くと、さっきの人が立っていた。
周りから視線を感じて彼から目を逸らして周囲をみると、クラスの注目は私たちに集まっていた。
「おい、聞こえてんのか」
さっきよりも低くなった声に、ヒッと怯えた声が口から漏れる。
「……です……」
「あ゛?」
「っ……。笹倉比菜、です……」
「比菜ね。俺藍住咲夜」
それだけ言うと、もう用はないというように前を向いて黙って椅子に座った。