私の光になった人

「今日は俺の話だね」
昨日みたいに横並びになって、手を繋ぐ。
「俺は小さい頃から才能がないって言われ続けてきた。家の荷物だって」
そんなわけない。
咲夜くんはテストの点数も私の何倍もいいし、絵も上手い。
この人は才能の塊かって思ったことが何度もあった。
「兄さんが優秀だったんだ。テストは必ず100点で、絵も書道も、いつも賞をもらってた」
それは人それぞれじゃん。
そう言おうとするも、咲夜くんが続ける言葉のが先に耳に入った。
「先生も保護者会の時に親に何度もこの子は才能がなくてって聞かされて、お兄さんはできるのになんでお前は出来ないんだってみんなの前で怒るようになった」
咲夜くんの手が震えていた。
大丈夫、というように、咲夜くんの手をぎゅっと握る。
それを分かってくれたのか、ゆっくり頷いてまた話し始めた。
「初めは友達も先生がおかしいって俺と過ごしてくれてたけど、そいつらも先生に変なこと吹き込まれたのか、俺を避けるようになった」
「そっか……」
辛うじて言葉にしたけど、何を言ったらいいのか分からない。
でも咲夜くんの話はここで終わりじゃなかった。
「だから俺は心を開かなくなった。その影響で髪を染めた。俺が傷つかないために、周りとの壁を作るために。髪を染めることと、できるだけ怖い口調で周りを怖がらせて、人を寄せつけないようにしてた」
分かっていたけど、不良だから髪を染めたわけじゃなかったんだ。
それに初めの頃のあの話し方は、この過去があってのことだったんだ。
「でもなんで?どうして優しくしてくれるようになったの?」
この話を聞く限り、私に優しく接する必要性を感じない。
ここに来たときも、もちろん今も髪の毛は銀髪のまま。
もしここに来ると決めても壁を作っているのであれば、私に好感を持たせるのは不条理だ。
「3年間一緒に頑張っていく仲間で、一生を共にするかもしれない恋人だから。あと、直前まで比菜のこと怖がらせてたからああなったのかもって」
……私のこと、考えてくれてたんだ。
ただパートナーだからとか、そういうことだけじゃなくて、その先も考えてくれていた。
「……私は咲夜くんのこと、すごいと思う。私たちは私たちなりに、ゆっくり手を取って進んでいけばいいんじゃない?」
「そうだよな。俺なら大丈夫って言ってくれる比菜のこと、支える」
手を取り、心を支え合って、私たちは一番大きな家庭環境を話すという壁を乗り越えた。