私の光になった人

ジューンブライド。
いかにも学園長たちが好きそうな言葉だ。
こんなに綺麗なベールを被っていいのかな。
更衣室でベールを手にして、つい悩んでしまう。
そんな中、どんどんみんなは更衣室を出ていくから、私も急いでベールを被って体育館へ向かった。
ゲームが始まると、男の子たちの声が響き渡る。
……どうしよう、怖い。
早く、早く終わって……。
手をグッと握って、今にも座り込みそうになるのを堪える。
｢比菜！｣
もう無理って思った時だった。
名前を呼ばれて、視界が明るくなった。
藍住くんが、私のことを見つけてくれた。
｢大丈夫か？｣
涙で視界がぼやける。
怖くて、もう無理で。
思わず藍住くんに抱きついた。
自分から男の人に抱きつくのは初めてだった。
ぎこちなく私の背中に手を回した藍住くんに、もう拒否反応は起こらなかった。