私の父はクリムソン王国の宰相を務めている事から、小さな頃から王宮に連れてこられ、殿下の友達兼、婚約者候補の一人として現在お茶を飲んでいる。


 あっ。そうそう……わたくしはバルト侯爵が娘カテリーナと申します。年齢は十四歳です。今年から王立学園に通う事になります。


 貴族の子供達は王立学園に通う事となり、将来の貴族社会を担う人材として教育されます。学園では身分など関係なく一生徒となります。


 令嬢が学園に通う年齢は十五歳からでデビュタントの年齢となります。
 そして、令息が学園に通う年齢は十三歳から。


 ウィルフレッド殿下は十六歳で、既に学園に通っておられるので、人脈作りを滞りなくされているとの事です。

 殿下の婚約者候補の一人でもある、公爵令嬢マドレーヌ様からお聞きしました。
 マドレーヌ様はウィルフレッド殿下と同じ歳の十六歳で優しいお方。勉強会という名で殿下の宿題を手伝って差し上げているとの事です……


「聞いているのか?」
 殿下の夢見がちな声が聞こえた。

「えぇ、勿論でございます」


「恋をしたらデートで忙しくなるかもしれん。カテリーナとの時間も減る事になる。今年入学予定者の生徒の中に私の恋の相手がいるかもしれない。決して邪魔をするなよ」

 などと言って胸を弾ませている様子の殿下だった。