そんな質問を投げかけてきたという事は、殿下は私に恋心を抱いていないという事だろう。


「いえ、そのような気持ちはまだ経験した事はございません」

 かくいう私も殿下に恋心? を持ち合わせていない……


「私は恋をしたいのだ」


 ほぉっと胸に手を当てて自分に酔っているように見えた。

「胸がときめいたり、笑いかけられただけで嬉しくなったり、寄り添いあったり、相手の事を考えただけで眠れなくなったり……そんな経験もした事ないまま、結婚をしてもいいのだろうか? 相手の事を思い切なくなるような気持ちを知ったら結婚生活もうまくいきそうではないか? カテリーナそう思うだろう?」


「まぁ、殿下がそう仰るのであれば、そうなのかも? しれませんね……」


 この夢見がちな乙女心を持つ方は、クリムソン王国の第一王子であらせられる。