その2
夏美



津波祥子か…

この子の口から聞くと、なぜだか今まで掴み取れなかった本郷麻衣の本質が、それこそくっきりと見えてくる感じだ…

「…あなたみたいな人材をフリーで放置してきたこと自体、紅組と南玉連合は都県境の実情にドン感だったわ。素直に反省するよ…。それを発掘した本郷の眼力と、あなたたちをここまで活かせたヤツのリーダーシップには感服してる…」

「相川さん…」

津波はそう声をかけてくれたけど…

私はこの時、自分が恥ずかしくて俯いていたよ

その時、ここの倉庫の主である高津のり子が飛びこんできた…

...


「鷹美、相川先輩、ちょっと…」

どうやら”動き”があったようだ…


...


鷹美と私は倉庫の外に出た

「横田さんから電話が入ってます!鷹美に話をしたいということなんですが…」

「そう…!鷹美、頼むわ」

「ええ‥。でも、ここは先輩が…」

「ダメよ。私は部外者だもん。ケイコはその辺も考えてのことよ。お願い、彼女、本郷とは何らかの話はしてると思う。今後のこととか。それに荒子のことも…」

「わかりました。じゃあ、のん子、案内して…」

二人は母屋の勝手口へ向かって走っていったよ…


...



「先輩‥」

あっこか…

「あんた、もう帰った方がいいよ。あとは、みんなでさあ…」

私は、庭先に半腰になっていた湯本敦子の隣に腰を下ろしてね‥

それで…、ほっぺたを赤くしていたんで、あっこのおでこに手を当てたんだけど…

「ちょっと!熱あるわよ、アンタ…」

「そうっすか…。自分じゃあ気が付かなくて…」

「帰りなさい!明日は無理しないで学校も休んだ方がいいわ。誰かに送らせるから…」

「…先輩、今のうちに言っときます。鷹美と私…、やっぱり南玉を抜けたいんです…」

「…」

あっこ…!!

私はハンマーで頭を打ち砕かれる思いだった…