ツナミの女/80S青春群像『ヒートフルーツ』豪女外伝/津波祥子バージョン編【完結】

その36
夏美



「やったぞ!あれは祥子がおけいや私と一緒に考案したバリエーションだよ!スゲエ、この土壇場なのに、見事やってくれたよ、アイツ…」

本田多美代の言葉は、前段は興奮しきっていたが、後段ではしんみりとした口調に急変したのが印象的だったわ

「祥子ー、祥子ー…」

一方、鷹美はメガホン越しに、祥子へ声をかけ続けている

厳しい表情のまま、しかし、いたって冷静だ…

”次”を誘導してるのかな

そして、”次”はすぐ起きた


...



それは、またもや凄まじい攻防だった…

ヘッドロックで太い首をねじ伏せるように締め上げられていたバグジーは、祥子の腰に両手を回すと”ウォー”という掛け声とともに、なんと自分の胸のあたりまで体を抱き上げ、勢いよく地面に叩きつけた

相手の首から手を放し、仰向けにされた祥子の腹部へはいつの間にかバグジーの右手がめり込んでいた

のた打ち回る祥子は、体の反動させて、脱出を試みてるようだ

10秒ほど経過したところで祥子は両足のばねを利して、半身を起こしたと同時に頭突きを見舞った

さらに右手でひじ打ちをたて続けに3連発…

さすがに祥子の腹から手を離すと、バグジーは後ろへ尻もちをついたが、すぐに立ち上がろうとしている

そこへ祥子はすかさず、数メートル前のバグジーに正面タックルで突っ込んでいったんだけど…

なんと、祥子の顔面には、瞬時に態勢を整えたバグジーのビッグサイズの右足が待っていた

しかし、カウンターで蹴りを喰らったと同時に、祥子の飛びかかりざまでのひじ打ちがバグジーの顎のあたりにヒットしていた…

ふう…、とんでもない死闘になってきたわ


...



渾身…

まさに今戦っている二人はそれを体現している

両者は仰向けにダウンしたが、祥子もバグジーもすぐに片膝をついてゆっくりと起き上がってくるよ…

二人を立たせているのは、こうなると気力だけだろうね

ケイコは二人のサブジャッジへ、ダウンカウントを制している…

どうやら、ダウンと見なさず、このまま戦わせるようだ

半腰で前屈みの態勢を取り、神経を集中させてるわ、ケイコ…

死闘の最中にあるのは、戦っている二人だけではない

ケイコもまさに渾身なんだ


...


「祥子ー!起きるのよ!立って!」

鷹美は声をからしながら、メガホンで絶叫してる

うーん、そろそろ正念場を迎えているようだ…