その4
麻衣



プルルーン、プルルーン…

はは…、この時間じゃ祥子だな

「もしもし…」

「ああ、麻衣…。津波だ」

ビンゴだったわね


...


「…今終了したぞ」

「早かったわね。あんた、手抜きして早じまいにしたんじゃないでしょうね(笑)」

「アホ!二人とも昨日のケガでダウンだよ、さすがに」

「はは…、リエに言ったら喜ぶかもね」

「あのな…、矢吹と湯本は這ってでも火の玉に行く気構えだったぞ。あんな二人にはさ、正面から挑んでやりゃあよかったじゃねえか。勝ち負けは別にしてよう…。はっきり言って気の毒だった。私だって気分悪いって!」

「祥子…、あの二人と総長の荒子さんは他のメンバーと切り離さなきゃ、私たちの目指すところは阻止されると見たんだ。あんたの話聞いて、私の判断が間違ってなかったと確信したわ」

「お前ねえ…」

祥子め…

ナイスガイぶり、ますますじゃん(苦笑)


...


「ところで、アンタ、静美の方は伝えてくれたんだろうね?」

「これからだ」

「ちょっとー、ひょっとして、ためらってるの?」

「当たり前だろ。相変わらずの悪趣味だ。…なあ、やめたらどうだ?」

「やだよーだ!」

「…お前、クスリやってんのかよ!」

「やってないよーだ!」

「ふう…、これから火の玉川原では大一番を控えてるってのに…。何もよう、廃倉庫で余分なことまでしなくてもいいだろうが。ここまで持ってきたんだし」

「祥子…、廃倉庫では二つだよ、私的には。まずは狂犬娘との”今日”の決着。それに対しての”返答”は、後日、真正面から受けるつもりだ。それの必要不可欠な要件って訳。で、久美と静美は今後を見据えてのことさ。今は無理でも、私のそばに居続けたいんであれば、じゃあ出来っかよ、ここまでってね…。奴らの覚悟を試す絶好の機会じゃん」

「どう考えても、悪趣味以外の何物でもないっての!…まあ、静美は行かせるが、私はこういう行為には反対だからな‼今後ともな」

私はこの時、ふと感じた…

今夜の結果で南玉連合が今後、どういう形に進もうとも、津波祥子は”新生”南玉連合の背骨になるだろうと…

ふふ…、思いだすよ

大女、祥子と”面接”した時のことを…