その1
麻衣



ギャハハハ…

真樹子さんと私はもう、腹筋100回やった後くらいだわ

笑いすぎて、おなかのあたりが痛いって

ん?

腹に手を当てて笑い転げてる二人を、久美はきょとんと見てるよ

「なんだよ、久美。普通、おかしくて笑いが止まらないぞ。生理か?」

「いや…、真樹子さんの話、何かびっくりしちゃって…。だって、あの時のバイクの群れ、全部協力勢力の部隊だと思ってたから…。信じられないな、やっぱり…」

「ハハハ、久美。さすがに急だもん、いくら何でもあそこまでは私も集められないって。だけど、前日に久美から静美達への呼び出しがあったって聞いてたからさ。一応事態は予測して、頭数の段取りは思案していたんだよ」

「しかし、真樹子さんもやってくれるよな。実際集まった約100台のうち6割が”エキストラ”だったなんて。砂ちゃんが知ったら卒倒するよ、アハハハ…」

もう私はおかしくて、おかしくて、ボックス席に横たわって、足をばたつかせて笑い続けていたよ

「しかもさ、バイク自体は70台くらいよ。あとは、後ろに乗っかった人間が、照明を手にしてパッシングに見せかけてたって訳。それこそ、中学生とか知り合いの主婦とかも動員してね、ギャハハハ…」

真樹子さん、また笑い転げた(爆笑)


...


「…でも、廃車プールの現場じゃ、砂垣たちは完全にこっちの全部隊が揃ったって慌ててましたよ。片桐さんとリエさんから捕えた偵察の男を放られた時はもう、連中、顔面蒼白で…。私、間近かだったからハッキリ見えたもん。それに、祥子とか、そこにいた私たち5人だっててっきり…」

「いやあ、私もそこで砂ちゃんの間抜けツラ、見たかったなー」

「しまった…、カメラ渡しとくんだったわ。ねえ、麻衣さん…」

「ホント、ホント。久美、よかったなあ、いいもん見れて」

「うん!最高だった。そうか、ハハハ…」

やっと久美にも、笑える意味が噛み砕けたようだ、ハハハ…


...



「まあ…、なにしろ、よかった。バグジーとは祥子がタイマンで思いっきりやればいいさ。5人がかりの不意打ちでやられた多美も、そこできっちりケリをつけるだろうし。それに、久美も静美を助けに行くことが出来たしな、ハハハ…」

私はソファに寝転んだ態勢で、隣に座ってる久美に視線を向けた

「そうよ、静美だってうれしかったでしょうよ。久美が駆け付けてくれてさ…」

真樹子さんも、久美の琴線を弾かせようってとこね…

「ええ、もう私なんか、一番先に静美の元に走って行って抱き付いちゃって…。二人とも、その場で声出して泣いちゃってましたよ。そしたら馬美とおけいが、縄ほどけないから、後でゆっくり抱き合いなって。へへ…、嫌味言われちゃった。キャハハハ…」

ようやく、いつもの久美が全開となった

よっかた、よかっただわ(笑)