その1
ケイコ



みんなが理解してくれた…

夢中で、かなりきわどいところまで告白してしまったけど…

会議はその後、祥子の進行でつつがなく議案を消化した

「では、最後になるけど一言…。敵はいつ、次の手を打ってくるかわからない。くれぐれも、注意してくれ。名策士と言われた前総長補佐、相川さんの話じゃ、これまでのいざこざの延長線上で、集団で仕掛けてくるかもってことだ。そうなりゃ、ドッグスがマトになる可能性が高い。静美、気をつけろよ」

「ええ…、わかりました」

うん…

やっぱり私も、ドッグスに牙を剥いてくるケースが一番だと思う

午後9時前、臨時幹部会は閉会となった


...


翌日夕方…

「おけいー」

火の玉川原の土手で腰を下ろしていると、おお、来たわ…

「多美!退院おめでとう。もう大丈夫なのか、本当に?」

「はは…、もう何ともないさ。…私が入院してる間、いろいろ動いてくてれたそうで…。ありがとうな、おけい!」

多美のヤツ、大げさに私の両手を握ってきたよ

ガラじゃないっての…(苦笑)


...



「おーい、二人とも、お待たせー!」

そうこうしてたら、祥子も到着だ

これから私たち3人は、川原での会議に入る…


...



「…とまあ、おけいと久美が精力的に動いてくれたおかげで、概ね反排赤各勢力との協力体制の土台は固まったってとこだわ。そんでさ…」

まずは祥子が、これまでの経緯、直近の状況を、事細かに多美に報告した

「じゃあ、敵さんは私を襲った後の動きはないけど、近々だってところだね。可能性としては、ドッグスを集団で狙ってくると…」

「多美、アンタの退院は先方も耳にしてるだろうし、もう間もなくだろうと踏んでる…」

祥子の断定的なその言葉で、多美はまなじりを決したかのような面持ちになった


...



「それで相川さんの想定だと、その後に、お互い代表を出しての決着を迫ってくるっていうのか…」

多美は荒子さん”直伝”の腕組みで、ややうつむき加減の厳しい表情だ

「そうなると、こっちは祥子ってことになるだろうから、その”備え”に集中してもらってるんだ」

私はそう言って、祥子の方に顔を向けた

「今日もよう、さっきまで”空手女”に稽古をつけてもらってたところだ。あと、スタミナ面での強化ってことで、持久力をつけるトレーニングはずっと続けてる…」

「よし、頼むぞ、祥子!私も遅ればせながら、とことん協力する。やってやろうや、みんなでよう‼」

ケガから全快した多美は、もう気迫十分だわ

「そこでさ、おそらく祥子の相手となる”人物”の情報が入ったんだ。岩本さんから”これ”を預かってきたからさ…。今から3人で”これ”を精査、分析して、具体的な戦い方を練ろうよ」

両脇の二人は力強く頷いた